サバイバル手引き
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1. 心構え — 最初の5分で決まる
- 米陸軍の教範は「STOP」から始める:Stop(止まる)・Think(考える)・Observe(周りを見る)・Plan(計画する)。慌てて動くことが一番の危険。
- 優先順位は「3の法則」で決める:空気なしで3分、体温を失えば3時間、水なしで3日、食料なしで3週間。空気(安全な場所)→ 体温 → 水 → 食料の順。
- 一人で決めない。家族・近所で役割を分ける(情報係・水係・見張り)。
- 不安は正常な反応。やることを小さく区切り、1つ終えるごとに確認すると落ち着く。
2. 水 — 1人1日3リットル
- 最低 1人1日3リットル(飲み水+調理)。断水したらすぐ浴槽・鍋・ペットボトルに溜める。
- 最も確実な浄水は煮沸:沸騰してから1分(標高が高ければ3分)。
- 煮沸できないときは家庭用塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム5〜6%、香料なし)を水1リットルに2滴、よく混ぜて30分置く。かすかに塩素の匂いがすれば使える。
- 濁った水は布やコーヒーフィルターで先にこしてから消毒する。
- 横浜市・東京都の給水所は HOME FRONT の地図で近い順に出る。
3. 食料 — 食べる順番
- 冷蔵庫 → 冷凍庫 → 常温保存の順に食べる。停電した冷蔵庫は開け閉めを減らせば約4時間、冷凍庫は満杯で約48時間もつ。
- カセットコンロとボンベ(1本で約60分)。屋内では換気する。
- 野草・キノコ・魚は確実に分かるもの以外は口にしない。都市では採集より備蓄と配給が現実的。
- 塩・砂糖・油・缶詰・乾麺は長く保存できる。持病の薬は最低2週間分を先に確保。
4. 火と明かり
- ライターは2つ以上、防水マッチ、懐中電灯(ヘッドライトが両手を使えて便利)、予備の電池。
- ろうそくは倒れて火事になりやすい。地震の後は使わず、LEDランタンを使う。
- 屋内で炭・練炭・発電機を使わない。一酸化炭素中毒は匂いがなく、眠っている間に死に至る。
5. 体温を守る
- 濡れた服は体温を奪う。まず乾いた服に着替える。重ね着で空気の層を作る。
- アルミ保温シートは体に密着させず、衣服の内側か外側に空気の層を挟んで使う。
- 低体温症のサイン:震え、口がまわらない、判断が鈍る。震えが止まったら重症。ゆっくり温め、手足をこすらない。
- 暑さ:こまめな水分と塩分。涼しい場所に移し、首・脇・足の付け根を冷やす。意識がおかしければ119番。
6. 応急手当
- 大出血:清潔な布で傷口を直接強く押さえ続ける。手足で止まらなければ傷より心臓側を幅広い布で縛り、時刻を書く。
- 心肺蘇生:反応がなく普段どおりの呼吸がなければ、胸の真ん中を深さ約5cm・1分間に100〜120回押す。AEDが来たら音声に従う(HOME FRONT の救急画面にテンポがある)。
- 骨折が疑われるとき:動かさない。板や雑誌を添えて、ずれないように固定する。
- やけど:流水で15〜20分冷やす。服が張り付いていたらはがさない。
- がれきの下敷きが長時間続いた人を急に助け出すと、心臓が止まることがある(クラッシュ症候群)。救急隊の到着を待つ。
7. 方角と移動
- スマホが使えないときに備え、紙の地図に自宅・職場・集合場所・避難先を書き込んでおく。
- 方角:日本では太陽はおおよそ東から昇り、正午ごろ南、西に沈む。アナログ時計の短針を太陽に向けると、12時との真ん中がおよそ南。
- 移動は昼間、建物沿い、複数人で。道順は事前に決め、帰らない場合の合図(時刻)も決めておく。
- 橋・トンネル・地下道は地震の後は崩落や浸水の危険がある。
8. 助けを呼ぶ
- 国際的な救難信号は「3回」:笛3回、光3回、たき火3つ。これを繰り返す。
- 笛は声より遠くに届き、体力を使わない。防災ポーチに1つ入れる。
- 上空から見つけてもらうには、明るい色の布、鏡の反射、地面に大きく「SOS」。
- がれきの中では、叫び続けず、硬い物で配管や壁を叩く(体力を残す)。
9. 都市のサバイバル(停電・断水)
- トイレ:断水したら便器にゴミ袋を2重にかぶせ、新聞紙や凝固剤で固めて捨てる。流すと配管が詰まり逆流する。
- 電気:モバイルバッテリーを満充電にしておく。スマホは画面を暗く、機内モード、省電力モード。
- 情報:乾電池か手回しのラジオ。SNS の噂より、自治体・NHK・防災無線を信じる。
- 現金:停電するとキャッシュレスが使えない。小銭を含めて数日分。
10. 核・化学物質
- 核:閃光を見たら伏せて顔を覆う。爆風の後はすぐ建物の中心か地下へ。最低24時間は屋内。放射線は7時間で約10分の1、2日で約100分の1に下がる。
- 外にいた場合は屋内で上着を脱いで袋に入れ、シャワーで洗う(コンディショナーは使わない)。
- 化学物質:異臭・多くの人が倒れる・目や喉の痛み。風上へ、屋外なら高い場所へ、屋内なら窓を閉めて換気を止める。
- 汚れた服はハサミで切って脱ぐ(頭からかぶらない)。水と石けんで洗い流す。
出典:米陸軍 ATP 3-50.21『Survival』(米国政府の著作物)を要約・翻訳。日本の状況に合わせて、内閣府の防災情報、内閣官房の国民保護ポータル、日本蘇生協議会(JRC)の蘇生ガイドラインの考え方で補った。自衛隊の教範は公開されていないため使っていない。この手引きは公的な指示を置き換えない。
もっと学ぶ:MAMOR-WEB(防衛省が協力する雑誌。自衛隊式の防災術の記事がある)。