WHERE THERE'S A WAY, THERE IS A WILL.
「未来は最初から決まってなどいない。そして人間は、行為主体(エージェント)として未来を変えられる」
ことわざは「意志あれば道は開ける(Where there's a will, there's a way)」。このページではその向きを返す——道(開かれた未来)が実在するから、意志は意味を持つ。この立場には名前があります。哲学では数百年、物理学では100年、議論されてきました。
最終更新 2026-09-20 / 姉妹サイト FREE WILL WATCH(論文の自動追跡)
言語によって呼び方は違うが、指すものは同じ。「決定論は偽で、未来は開いていて、行為者が未来を作れる」。
| 言語 | この立場の名前 |
|---|---|
| 日本語 | リバタリアン自由意志論(形而上学的リバタリアニズム)構成要素:行為者因果論・非決定論・開かれた未来(開放未来)・非両立論・反運命論 |
| English | libertarian free will / libertarianism (about free will)agent-causal libertarianism / event-causal libertarianism / the open future / incompatibilism / anti-fatalism. "The future is not written — we author it." |
| 中文(简体) | 自由意志论(不相容论中的自由意志主义)行为者因果论(行动者因果)・非决定论・开放未来・反宿命论 |
| 中文(繁体) | 自由意志論(不相容論中的自由意志主義)行為者因果論・非決定論・開放未來・反宿命論 |
| Français | le libertarianisme (sur le libre arbitre)le libre arbitre libertarien / l'indéterminisme / l'avenir ouvert / l'antifatalisme |
| Deutsch | der Libertarianismus (zur Willensfreiheit)die Willensfreiheit / der Indeterminismus / die offene Zukunft /Agentenkausalität |
| Español | el libertarianismo (sobre el libre albedrío)el libre albedrío libertario / el indeterminismo / el futuro abierto |
| 한국어 | 자유의지론(리버테리언주의)행위자 인과론・비결정론・열린 미래 |
注意:政治の「リバタリアニズム(小さな政府)」とは無関係。哲学の用語で、自由意志が実在し決定論と両立しない(=決定論が真なら自由意志はない、決定論が偽だから自由意志がある)という立場を指す。一方の柱だけでなく「開かれた未来」と組み合わせると、あなたの見取り図そのものになる。
論文の自動追跡は FREE WILL WATCH が毎週行っています。ここでは学説の骨格だけ。
非決定性があっても自由にならない、という定番の反論(「運まかせ問題」)に対し、Kane は自己を形づくる行為(self-forming actions)で答えた。人生を分ける大きな選択で、あなたが本気でどちらの道も望み、努力の末にどちらかに決めるとき——そのゆらぎの中の決定こそが「あなたがあなたを作った」瞬間だ、と。運が決めるのではなく、努力する本人が決める。
代表書:The Significance of Free Will(1996)。
原因となるのは常に「出来事」でなければならない、という前提を外す。O'Connor は、行為者という実体そのものが、理由に導かれつつも還元できない形で決定の原因になると論じる。Chisholm 以来のこの路線の、現代で最も精緻な擁護者。人格とは何かという形而上学と直結する。
ダートマス大学の神経科学者。シナプスの重みを再設定することで、脳は次に何を判断基準にするか自らを書き換えられる(criterial causation)という仕組みで、物理法則の中の自由を擁護する。量子のゆらぎを直接持ち出さずに済む、神経科学寄りのリバタリアン路線。
ジュネーヴ大学の実験物理学者。量子相関は実数では再現できないことから、未来は現在の状態だけでは書き切れていないと論じる。確率は人間の無知の表現ではなく、世界に「まだ決まっていないこと」が実在する証拠。時間は本当に流れており、未来はまだ書かれていない、という物理学。2026年には「開かれた神経ダイナミクスの物理」を発表。
一般書:Quantum Chance(2014)、邦訳『量子チャンス』。
決定論を認めたうえで自由を守るのが両立論なら、この2人は決定論そのものを疑う側。Steward は動物を含む行為主体性の存在が決定論と衝突すると論じ、List は自由意志の実在から決定論の偽りを導く(Why Free Will Is Real, 2019)。
2025年には Springer の論文集 Agency and Free Will in an Indeterministic Universe(Synthese topical collection)が企画され、非決定的な世界での行為主体性がテーマとして召集された。Moore(2025, Inquiry)のように、行為者因果と事件因果を組み合わせる新しい擁護も出ている。この分野は静かな少数派ではなく、動いている少数派。
これらの学説はまだ少数派で、決定論からの反論(ゆらぎは「自由」ではなく「ノイズ」では?)も強い。この節は編集者の希望を明示したものであり、中立な文献調査ではありません。論文そのものは FREE WILL WATCH で擁護側・懐疑側を並べて追跡しています。